甲殻類 2002年 7月24日(水)

今日は雨。ここんとこ北海道にしちゃぐずぐず続きで、
高温と湿度に免疫のない私には結構辛い。
鼻血出るくらい暑いってみんなが言うようなとき、
私の場合は「出るくらい」とかいうたとえ話じゃなく
ほんとに出血しちゃうような鼻血体質なのだ。



それはさておき、先日タガメの話を書いたあとで、
忘れないうちに書いておかなくてはと思ったことがある。
去る7月7日のことである。

その日、私は来ないかもしれない友人からの連絡を待っていた。
外は雨。こんな日にキャンプもなかろうと思っていたのだが、
昼頃になって電話が入り、雨がやみそうならやっぱり海に行くという。
大丈夫だよというMちゃん(←男)の強い要望により、
結局夕方近くになって4人で海岸へ向かった。

その砂浜に着いた時にはすでに暗くなりかけており、
テントを張り終えた頃には再び雨が強くなってきていた。
しかも明日は平日。至極当然ながら野営を張るものは我々のみであった。
それでも七輪に火をおこし酒を飲み始めると、結構キャンプ気分になれるものだ。
買い込んだ食材をアミに並べる。
・・・すでに悲劇は始まっていたのであった。
薄ら寒い北海道の初夏。そして雨。こういった状況の海岸でテントを張り、
火をおこして調理をしようとするとどうなるか。

確かに「彼ら」は始めからそこかしこをうろちょろしていたのだ。
あたりまえなので別に気にしてもいなかったのだが。
そう、海へ行ったらお馴染みの連中である。 「フナムシ」そして、
海岸特有の巨大な「ダンゴムシ」(正しくはタマヤスデの類か?)

彼らも雨宿りしたいのか、
或いはヒトの体温や七輪の火・ろうそくの明かり・食物の臭いに反応してか、
集まりだしたその数はあれよあれよという間にどんどん増してゆくのである。
まるで砂地が蠢くかのように際限なく押し寄せる
虫、むし、ムシ・・・・・


この日は七夕。雨雲の上では白いカササギの群が
織り姫と牽牛の逢い引きに一役かっているのだろうが、
このテントの雨よけの下では黒いムシの群れが、
向かい合う我々の間をもぞもぞと行き交っているのだ。
蝶・蛾のアマチュア研究家でもある父の影響で
幼少時から虫に慣れ親しんで育った私といえども、
こんだけの数をいっぺんに見たのはかつてないであろう。

いや、その光景たるや実にホラー映画ばりなんである。

しかも私は体温が高い為か、めっぽう彼らに好かれるらしい。
どうも集中的に呼んじゃってるみたいなのだ。
あまり害のある連中ではないのだが、
うろうろしているうちにひとの尻の下にもぐり込んでみたり、
足によじ登ってみたと思ったら
あまつさえエサと間違ってちょびっとかじってみたり、
フナムシに至ってはぴょんぴょんはね回った末に
いつの間にか首筋にたどり着いちゃったり、
そりゃもう彼らが口をきけたものならここは祭か運動会か、
てなくらいの大騒ぎなのだ。

こんだけ数がいれば、いくらなんでも気が散るというものだろう。
ことわりもせず足の上をはい上がって来られたら、
そりゃ気分も害するってモンだ。失敬な。
って、よく考えたら彼らのテリトリーに入り込んで
これみよがしに旨そうなもの食ってんのは我々なのだ。
仕方ないから、焼いたエビのしっぽなんかをそこらに置いて彼らにくれてやった。

それでも相変わらずもぞもぞと足下に来る奴が絶えないので、しまいにゃ
野菜を焼きながら、もうめんどくさいから
その箸でダンゴムシを拾ってはそこいらに放り投げる

なんていうひどい仕打ちをはたらきつつ、
やっぱりその箸でメシ食ったりなんかしていたのだ。
放り投げても放り投げても彼らめげずに戻って来るから、
えんえんとその繰り返しなんだけどね。もう賽の河原。

ふと気がつくとMちゃんの様子がおかしい。
普段なら浴びるように酒を飲む彼が何も口にしなくなり、すっかり口数が減っていた。どうやら彼、ムシが苦手であるらしい。
「大丈夫?」奥さんのYちゃんが気遣う。
しっかり者だけど天然なとこもあってかわいらしい彼女だが、
生き物には強いみたいだ。この状況でも、ちゃんとメシを食っている。
ここでムシ嫌いなのはMちゃんだけのようだ。

「もう、ダメ・・・・・」

事は急を要していた。
消耗の激しいMちゃんに懐中電灯を持たせ、
私はテントの中に入り込んだムシを徹底的に排除した。
面倒なので手づかみでビニール袋に放り込んでは外に捨てる。
少なくとも100匹は捕まえていたとMちゃんは言っていた。
いちいち数える余裕があるなら大丈夫そうなものだが、
全てのムシをテントから出し終え入口の蚊帳をぴっちり閉めると、
とたんに彼は崩れるように身を横たえた。かなりギリギリだったらしい。

もう息も絶え絶えといった体のMちゃんを見つめ、
Yちゃんがぽつりと言った。

「ああ、Mったらもう虫の息ね・・・」
・・・・・・・・・まさしく!!!


今にも死にそうなMちゃんと心配顔のYちゃんを後目に
思いっきり激笑してしまった私。
ごめんよ〜、だってYちゃんたら真顔で
こんな気の利いたこと言うもんだからさぁ〜・・・
ぶわははは〜!!
あっ、ごめんごめん、ごめんってば。
余談だが、飛んで火に入る夏の・・・よろしく、
ろうそくの明かりに飛び込んでお亡くなりになった
フナムシ君たちを見て遅まきながら気がついた。
彼ら、熱が通ると赤くなるのだ。
・・・・・・・えび?
待てよ。ムシムシってずっと言ってるけど、海岸に生息、そして甲殻類・・・・・・
やっぱりエビじゃん、こいつら。(←まとめすぎ)
ミョーに納得した夜でした。
ちなみに気になってさっき調べてみたら、同じ甲殻類ってことで
ダンゴムシもやっぱりエビの親戚。これで察しはつくだろうが同じ理屈で、
庭先でお馴染みのワラジムシだってそうなのだ。

なーんだ、みんなエビなんじゃん。
エビだよ黒いエビ。
・・・・・・ブラックタイガー?(←そんなわけない)
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by midori_design | 2005-04-23 23:25 | 恥の遺産 | Comments(0)
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