今日のいいこと。

締め切りが重なったため、昨日・一昨日と睡眠時間を削って作業していのだが、本日無事、朝いちでクライアントにデータを届けることができた。これで色校が出るまではしばらく休めると思うと、少しほっとすると同時にどっと疲れが出たので、客先近くの札幌駅のコンビニでペットボトルのお茶を買い、地下街の小さな広場のベンチに腰をおろした。そこには七夕の飾り付けが施してあり、道行く人が願いを書いて吊るせるように短冊も設置してあった。

ここ北海道では、基本的に七夕のお祭りは旧暦で扱うので8月に行われる。ああ、もうそんな時期なんだな、そう言えば今日から8月じゃないか。とぼんやり考えながらお茶を飲んでいると、私の隣りに小さなおばあちゃんが腰掛けた。ややしばらくの後、おばあちゃんはにこにこと「こんな所に七夕の飾りがあるんですね、七夕は8月だったかしら?」と話しかけてきた。私もつられて笑いながら「そうですね、北海道では旧暦でやりますからね」と返すと、「折角だから腰が良くなるように書いてみようかな」と仰る。曲がった腰で立ち上がり短冊に願いを書き始めたので、「何かいいことがあるかも知れませんね」と声をかけた。

おばあちゃんは笹の葉が飾られたコーナーに歩み寄り、願いを書いた短冊を結わえ付けた。そうして満足げに振り返ると、嬉しそうに私に手を振りながら、ゆっくりと歩いて行ってしまった。私はなんだかとても嬉しくなり、いつまでもおばあちゃんの後姿を見送っていた。気付けばお茶もすっかりなくなっていた。

嬉しくなったので、私も短冊を手に取った。「いま隣りに座っていたおばあちゃんの腰が良くなりますように」と書き、少し考えてから裏にも「皆が元気でありますように」と書き足して、おばあちゃんの短冊の隣りに自分の短冊を結わえ付けた。おばあちゃんの短冊にはこう書いてあった。

織姫様 絹の腰が直って良く歩けるようにしてください


かけられた短冊は後に北海道神宮に奉納されるようだ。二人分の願かけをしたのだから、もしかしたら神様も織姫と二人でお絹おばあちゃんの願いを叶えてくれるかもしれない。そうだといいな。
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by midori_design | 2006-08-01 13:33 | つれづれ時録 | Comments(13)
Commented by ノーム at 2006-08-01 18:13 x
お晩です~。なんか良い話しだなぁ~~。気持ちが良いね。目に浮びますね~。俺も何かお願いするかな・・。「背丈が縮まない様に・・」(今年の1月・・5mm背が縮んでた・・)・「給料が上がります様に!」・・願いが・・不純・・?人の為に成るようなお願いじゃないとダメかなぁ~。
Commented by whitececile at 2006-08-01 19:29
ふっと、立ち止まるようなお話でした。
絹ばあちゃんの腰が直って良く歩けるように・・と一緒にお願いしましょう。

私は太ももの裏のセルライト?セルロース?あのぶよぶよ・・が取れますように・・・お願いします・・
Commented by しば at 2006-08-02 09:36 x
流石の文才ですね。旧暦だから八月だったんですね。
「星空を見上げるには北海道では七月ではまだ、寒いから」と
いう説をこれまで流付しておりました。

この絹さんという女性はおばあちゃんになって、
自分のことを「絹」って呼べるって素敵ですね。

絹おばあちゃんの腰が治りますように。
Commented by ご隠居 at 2006-08-02 09:53 x
今の暦で七夕の夜の星空は望めません。梅雨空で天の川は無理でしょう。七夕はやはり陰暦で行うのがまっとうです。ちなみに今年は7月31日。

「七夕や秋を定むる夜のはじめ」(芭蕉)

七夕の夜に、飛んで来たたくさんの鵲(かささぎ)が、銀河(あまのがわ)の上にずらり横並び、翼を連ねて橋を作り、織姫を渡らせて、彦星に会わせてやった・・・。二つの星の逢瀬、星合(こんな言葉ちょっと照れますが)
で、書きついでに、ちょっと艶っぽく切ない小唄をひとつ。

「七夕の逢うは別れの始めぞと 明けて嬉しき一夜のちぎり またもや袖に涙雨」
Commented by くされ女 at 2006-08-02 15:46 x
なんか、とりようによっては、素敵な話に水を差すコメントを書いてしまったような気がして、削除しました。ごめんなさい。

田舎の祖母の元で夏休み丸々過ごしていた私は、七夕さまも祖母のうちの庭の、あれは多分笹ではない木に短冊を飾って祝ってました。
midori_designさんのお話から、祖母との懐かしい記憶が蘇ってきました。
ってことを書きたかったのだと思います。

絹さんにとっても、midori_designさんと交わした会話は、「今日のいいこと」だったんだろうなぁ。
Commented by midori_design at 2006-08-02 17:38
おお~、ある日の朝の小さな出来事にコメントくださって皆さん有難うございます! 本当にかわいいおばあちゃんだったんですよ~、もう絹おばあちゃん萌えです。 だって、皆がただ自分の願いだけを書いている短冊に、ちゃーんと「織姫様」って呼びかけているんですよ。それって素敵なことだと思いませんか。

「織姫」に願いをかけたかわいいおばあちゃんの名は「絹」だった、とただそれだけのことなんですが、最近私も何かと絹(きもの)に縁があるので、その名を知った時に尚一層嬉しくなったのでした。

そして近頃すっかり「絹」の「織物」に魅せられている私の名は「緑」。「翠」でも「碧」でもなく、いとへんの「緑」。
ただの偶然ですが、あのひと時、織姫と絹おばあちゃんと私との間に、細い糸が繋がったかのような気持ちになりました。

今すぐ皆さんのコメントひとつひとつにお返事したいのですが、
ここ数日で思った以上に体力を消耗していました。(笑
夜には元気になっていると思いますので、それまでお待ちください。どうぞ大目に見てくださいな~。
Commented by midori_design at 2006-08-03 06:11
>ノームさん。
いや、大丈夫です。
「ドラえもんがほしい」って短冊もありましたから。笑
Commented by midori_design at 2006-08-03 06:20
>whitececileさん。
私も尻下のセルライト、何とかしたいです。笑
顔に肉がつかないのと服の着方でバランスを取っているのとで
全身痩せているように誤解されているようなのですが、
比較的細い(いや、薄い)上半身に対して、下半身の重いこと重いこと!
足なんてしずかちゃんです。足首ありません。笑
このアンバランスさをどうにかしてくれ~ って感じです・・・orz
セルロース(食物繊維)摂取して便秘解消、と言っても
もともと野菜好きなのでさほど便秘には困っていません。
やっぱり運動かしら・・・・(汁
Commented by midori_design at 2006-08-03 06:32
>しば。
いやいや、文才なんて関係ありまへんがな。笑
あんまり嬉しくってどうしても書きたくなったのさ。
文章が良いのではなく、この出来事が良すぎたんだよ~。

そうそう、いいでしょ。
「織姫様」って直接名前で呼びかけて、
自分も「絹」とちゃんと名乗っている。
短冊に込められた絹おばあちゃんの願いが
本当によく伝わってきました。
Commented by midori_design at 2006-08-03 06:47
>ご隠居さま
おお、今年は7月31日だったのですか、知りませんでした。
でも北海道では慣例的に本州のきっちり1ヵ月後、8月7日にやってますよね。わかりやすいからなのかなぁ。

う~ん、この艶っぽさがいいですね。
年に一度きりの逢瀬、夜明けが近づくとともにさみしさで袖も枕も涙に濡れる。
そんな気持ちを思い出して切なくなりますね~。
Commented by midori_design at 2006-08-03 06:55
>くされ女さま。
あ~れ~、何をおっしゃいますやら!
お婆様への暖かい気持ちが伝わってくる素敵なコメントでしたよ!
きになさることはなかったのに~。

私も子どもの頃は、笹ではなく柳の枝に短冊を飾っていました。
ってか、そもそも短冊を飾れるような笹は北海道には自生していませんよね。
熊笹ならあるけど・・・笑
Commented by ヒマロ at 2006-08-05 10:50 x
初めまして、ヒマロです。
チオリさんのところから辿ってよく拝見しております。
いつも見てはクスクスと笑っておりますが、今回はホントこころ暖まるお話でしたね。おばあさんの腰を気遣って緑さん自身短冊にそのお願いをするなんて、なかなかできないことだと思います。
どんなに忙しくても疲れていても他人を考えることができるというのは素敵なことですね。私も見習わねばと思いました。

これからもよろしくお願いします。
じゃ、私は緑さんが素敵な領収書をきってもらえることを織り姫様に願っておきます。
Commented by midori_design at 2006-08-06 09:38
>ヒマロさん。
はじめまして、ようこそいらっしゃいました~。
おお、ちおりさんのところからいらしてご覧になって頂いてるとですか!
ありがとうございます、ありがとうございます!

いや~、気遣うという意識はそのときは全く無くて、おばあちゃんが私に手を振ったその笑顔が嬉しくて、自然と短冊に手が伸びたんですよ。そのくらい、絹おばあちゃんの笑顔には力がありました。

隣りに座っていただけの私にごく普通に話し掛ける屈託の無さも、私にはとても嬉しかったです。むしろ、疲れていた私に元気をくれたのは絹おばあちゃんの方だったんですね。

お~、ありがとうございます!こちらこそ、よろしくお願いします。
・・・こ、これで素敵領収書ゲットか!?
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