気になる。

お茶のお稽古から帰ってくる時、よりにもよって私が降りる終点麻生駅で人身事故が起こったらしく駅はごったがえしていた。幸い私が駅の改札をくぐって15分位待った程度で普通運転再開となり、無事麻生駅までたどりつけた。しかしバスが来るまでやや時間があったので飲み物を買って待とうと自販機に歩み寄ったところ、所在無げに立っていた小柄な女性が私に声をかけてきた。顔が青い。



「あの、すみません…人身事故で誰が死んだかなんて、わかりませんよね…?」

ハッとした。勿論私にはわかるはずもないのだが、いたたまれない気持ちになった。「ええ、ちょっと私には…。もしかして、どなたかとご連絡が取れないのですか…?」と尋ねると息子さんと連絡が取れないとのこと。大学受験の結果が今日出たのだが駄目だったそうだ。駅員にも尋ねたが「今はまだ何も、亡くなったのが女性なのか男性なのかも教えられない」と言われたと、途方に暮れた表情だった。その時点ではまだ性別も何もわからないという意味だったのかもしれないが、その応対はないだろうよ、駅員。青い顔した人を何のフォローもなしにほったらかしか。

だが私もこのお母さんのためにしてあげられることが何も思いつかず、「息子さん、お友達のお家にでも行ってるといいですね」と言うのが精一杯だった。「すみません…」と小さな声で言うお母さんに、「座って待っていた方がいいですよ」としか言ってあげられなかった。落ちつかない足取りで再び駅員室の方に向かうお母さんの後姿を見送り私もバス停に向かったが、その後どうしても気になり先程の場所まで戻ってみた。辺りを見渡しても彼女の姿はもうなかった。駅員室にでもいるのか、息子が無事とわかりもう帰ったのか。いずれであっても、せめてあの時暖かいコーヒーを買って渡せていたら良かったと後悔した。

どうかあのお母さんの心配が取り越し苦労でありますように。
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by midori_design | 2006-09-06 00:46 | ツブ焼き